投稿

9月, 2023の投稿を表示しています

GLPの交通シミュレーション手法について考える_2

イメージ
今回は、 なぜ「動的シミュレーション」を行うべきなのか について考えてみたいと思います。  動的シミュレーションと静的シミュレーションの比較  国土交通省が進めてきた『道路交通アセスメント検討会』の資料:「 道路周辺の土地利用による影響の予測手法、対策メニュー、モニ タ リング 」の中で、 「動的手法は静的手法に比べ、多様なファクターを考慮することが出来、より実態に近い予測が可能」 と記載され、その比較として下記記載がありました。 「 道路周辺の土地利用による影響の予測手法、対策メニュー、モニタリング 」 6 ページより (以下の事例も含め転載)   内容を見ると、共にそれぞれの手法に長所短所がありますが、事例として気になる記載がありました。静的シミュレーションだけでは安心できないようです。  静的手法での課題事例  静的手法での課題事例として、 「実際に静的手法による予測が間違った判断につながった可能性があると共に、動的手法で行った場合、ほぼシミュレーション通りに渋滞の発生が確認できた」という報告があるようです。 ○静的手法による予測(大店立地法の届出書)では、 →単一交差点部分の交差点需要率の算出結果 として  周辺交通への著しい悪影響は無いと判断  されたようですが、 ○交通シミュレーションによる予測 では、 →シミュレーションでの交差点の滞留状況から渋滞を確認 され、 ○開業後の状況(目視による確認) では、 →ほぼシミュレーションと同じ個所で渋滞が発生 していたとのことです。  動的シミュレーションを採用すべきなのかどうか  それでは動的シミュレーションを採用すべきなのかについて考えてみたいと思います。 国際交通安全学会出版の「交通・安全学」において、大規模開発の交通シミュレーションとして動的シミュレーションの紹介に栃木県の事例が記載されていました。 栃木県に於ける動的シミュレーションを行う場合の要件として改めて「大規模小売店舗の立地に係る交通流動予測について」を見てみると、下記記載がありました。   交通流動の予測・評価を実施する要件 自動車の交通が周辺道路における交通に著しい影響を与えるおそれがあると見込まれる場合には、設置者は、対応策の事前評価を行うため立地後の交通流動を予測するこ...

GLPの交通シミュレーション手法について考える_1

イメージ
何故、 GLP は交通シミュレーションの手法として、 「動的シミュレーション」は行わず「静的シミュレーション」を実施すると言ったのでしょう。   何故このような疑問に至ったのかという理由は、 動的シミュレーションという言葉を私は聞いたことがあるが、静的シミュレーションという言葉は聞いたことが無い。どのような方法なのだろうか? 我々市民(素人)に分かりやすい方法はどちらなのだろうか GLP は交通問題を市民に分かってもらおうとしているのだろうか この三つの疑問が最初に頭に浮かんだからです。 そして次に GLP の説明資料「『交通計画(安全・交通負荷)について 発生交通集中量の配分比』( GLP 資料 42 ページ)の説明で、資料通りの配分比で計画しています。」と説明がありました。 まるでこのように配分すれば問題が無いような説明でしたが、次の疑問が湧いてきました。 果たして GLP の説明は信用できるのだろうか? 説明を鵜呑みにして大丈夫なのだろうか? 説明のために帳尻を合わせた配分比になっているのではないだろうか? 何故なら、最近のカーナビでは渋滞情報に基づき最適ルートを案内します。 同様に熟練の運転手なら空いていると思うルートを取るのが当たり前なのではないだろうか?と思ったからです。 GLP が走行路線を指定し守らせると言っていてもそれを守るとは到底思えません。 そうすると、その時々の都合(渋滞状況)に合わせて運転手が走行ルートを選ぶのであれば、配分は変わってしまうのではないだろうか。そうなれば、正解の回答は複数あるはずなのに、示されたのは一つだけなのは何故だろうか。 ひょっとして、事前に調査された交通量に、提示された計画・配分比を掛けると、数字的には懸念を払拭できる、問題が起こらないように見えるなどの、事業者側にとって説明しやすいストーリを作りたいのではないだろうか?という疑問を抱きました。 それで調べを進めると、 国土交通省が進めてきた『道路交通アセスメント検討会』という部会資料に次の様なことが書かれています。 資料:「 道路交通アセスメント 制 度 の 論点 」の中で 道路交通アセスメントの対象施設の用途・規模について、 (1) 大店立地法では、 店舗面積 1,000平方メートル 超の...

GLPの交通量事前予測についての一考

  GLP の交通量事前予測について考えてみたいと思います。   GLP の説明会において、環境影響評価書案の説明会の前に 「多くの懸念がある交通問題に関する市民説明会」 の実施の約束を得ましたが、データに裏付けされた説明、信憑性のあるデータの開示を求めていかなければいかないと感じています。 私はGLP説明会でデータセンターの燃料備蓄に係る安全性の質問を行った際、「データセンターはしっかりとした構造で作られていて安心です」という GLPの説明に対し、「データも示さず、ただ安心ですという企業の言葉は信用ができない。しっかりと裏付けのあるデータに基づく説明が必要だ」と言いました。 信頼できない限り、我々は安心してこの計画に納得することができないからです。 但し、データに裏付けされた説明が必要とは言え、その「データ自体が信用できるのか」という問題の解消も必要です。 何故このようなことをわざわざ書くのかというと、 一般的に調査を依頼された企業が依頼主に忖度し、調査が甘くなってしまうことは無いのか? という疑問を持ったからです。 例えば、調査結果が思ったより悪かった場合、事業の実施や継続に大きな影響を与えることから、「事業者へ報告を行う際に思わず過小の報告をしてしまう可能性は『ゼロ』ではないのではないだろうか?」 と考えたからです。 もしそのようなことがあれば、計画実施後の市民生活には大きな影響・問題を生じることになります。 過去の事例として、「東京都の道路アセスでは、交通量が事前予測の2倍近くになった事例、 NGO の実地調査では4倍」などの例があるとの指摘があります。 この事後調査の違いも、何故生じたのか、詳しいところを知りたいものです。 (下記参照ください) 『環境影響評価法の見直し・強化と戦略的アセスメント法制化について』 環境アセスメントのあり方を考えるためにもご一読をお薦めします。 https://www.env.go.jp/council/02policy/y0210-hearing01/900416757.pdf このことから、今回の GLP の事業計画に於いて、事業者から提出される予測が正しいかどうか、それを鵜のみにせず第三者の評価が必要なのではないかと考えたからです。 と同時に、市に対し市民への分かりやすい説明...

GLP計画と立川断層直下型地震発生時の問題

イメージ
 関東大震災から100年が経過し、地震に係る情報を毎日目にしています。 昭島市役所でも関東大震災100年の節目に「防災講演会」があり、配布頂いた資料の中に「立川断層帯地震の震度分布」の図を目にしました。その図を見ていると、昭島市にも大きな被害を与えることが分かります。 実は先日の GLP 説明会の会場で「いざという時を想定した データセンター に於ける発電装置の為の燃料貯蔵」に関し質問致しました。具体的質問は下記の通りです。 「データセンターでは電源供給がストップした時のことを考え、緊急電源装置に加え、発電装置があると思いますが、 ① 燃料は重油でしょうかガスでしょうか? ②  いざという時の為に燃料を貯蔵されると思いますが、その安全性の確保は如何でしょう。電源供給が止まるということはよほどの災害発生時だと思いますので、その様な時にでも破損しない、リスクのない貯蔵方法をお取りになっていると思いますが、その安全対策は如何でしょう。 ここは住宅地のど真ん中ですのでリスクコミュニケーションが必要な案件です。 ③ また緊急発電装置は定期的に試験的な運転をしなければいけないと伺っていますが、昭島の施設でも年に何回か実施されるのでしょうか? またその時の騒音や異臭の問題は無いのでしょうか? 発電装置が稼働するという事態はよほどの事態であり、多くの重油を保存することは住宅地の真ん中では大変なリスクです。 その時のGLPの回答は「 データセンター はかなりの安全性を確保した建築を行うので心配ない」との回答でしたので、何故心配ないのかについて企業の一方的な話では信用できないので、データを示すと共にリスクコミュニケーションとしてしっかりと住民への説明を求めましたが、明確な回答は得られませんでした。 この件について、市役所と GLP の間の話では危険物の貯蔵・保管として消防署への届出が必要とのことで合意をしているようです。 これは大変な問題です。 住宅地の真ん中に危険物を保管しておいて届け出だけで済ませるのはもってのほか💢 住民・市民への明確な説明が有ってしかるべきではないでしょうか。 下図は首都直下地震等による東京の被害想定 報告書一式の中の立川断層帯地震の震度分布を示した図です。リンク先の資料33ページ[1-24]に掲載されています。 https://www.bo...