GLPの交通シミュレーション手法について考える_2
今回は、 なぜ「動的シミュレーション」を行うべきなのか について考えてみたいと思います。 動的シミュレーションと静的シミュレーションの比較 国土交通省が進めてきた『道路交通アセスメント検討会』の資料:「 道路周辺の土地利用による影響の予測手法、対策メニュー、モニ タ リング 」の中で、 「動的手法は静的手法に比べ、多様なファクターを考慮することが出来、より実態に近い予測が可能」 と記載され、その比較として下記記載がありました。 「 道路周辺の土地利用による影響の予測手法、対策メニュー、モニタリング 」 6 ページより (以下の事例も含め転載) 内容を見ると、共にそれぞれの手法に長所短所がありますが、事例として気になる記載がありました。静的シミュレーションだけでは安心できないようです。 静的手法での課題事例 静的手法での課題事例として、 「実際に静的手法による予測が間違った判断につながった可能性があると共に、動的手法で行った場合、ほぼシミュレーション通りに渋滞の発生が確認できた」という報告があるようです。 ○静的手法による予測(大店立地法の届出書)では、 →単一交差点部分の交差点需要率の算出結果 として 周辺交通への著しい悪影響は無いと判断 されたようですが、 ○交通シミュレーションによる予測 では、 →シミュレーションでの交差点の滞留状況から渋滞を確認 され、 ○開業後の状況(目視による確認) では、 →ほぼシミュレーションと同じ個所で渋滞が発生 していたとのことです。 動的シミュレーションを採用すべきなのかどうか それでは動的シミュレーションを採用すべきなのかについて考えてみたいと思います。 国際交通安全学会出版の「交通・安全学」において、大規模開発の交通シミュレーションとして動的シミュレーションの紹介に栃木県の事例が記載されていました。 栃木県に於ける動的シミュレーションを行う場合の要件として改めて「大規模小売店舗の立地に係る交通流動予測について」を見てみると、下記記載がありました。 交通流動の予測・評価を実施する要件 自動車の交通が周辺道路における交通に著しい影響を与えるおそれがあると見込まれる場合には、設置者は、対応策の事前評価を行うため立地後の交通流動を予測するこ...